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しあわせの雨傘

Category : 徒然映画
しあわせの雨傘

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ブルジョワ主婦の社会進出。

フランソワ・オゾン監督の作品です。フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴとの「8人の女たち」以来の再タッグで挑むこの作品はまたまたコメディでした。

1977年。フランス、パリ郊外。緑に囲まれた大豪邸で暮らすブルジョワ主婦スザンヌ・ピュジョル。朝は自然と戯れながらジョギング。何かに目が留まればポエムを書く・・・悠々自適の一見幸せそうな日々を過ごしています。

しかし、夫ロベールからは「台所に立つな。」「仕事に口を挟むな。」とスザンヌの言動をことあるごとに拒み、置き物のように扱われていました。夫ロベールはスザンヌの父の後を継ぎ雨傘工場のワンマン社長として権力の限りを尽くし、現在、従業員との関係は悪化の一途を辿っています。

結婚して30年。子供にも恵まれています。

娘のジョエルは既に結婚し2人の子供がいます。しかし、いつも出張ばかりの夫との仲は冷え切り離婚も考えています。離婚を止めさせようと説得するスザンヌですが、ジョエルに「ママのようになりたくない。」「「飾り壺」にはなりたくない。」と言われショックを受けてしまいます。

息子のローランは芸術家志望の好青年。父を嫌悪し雨傘工場にはまったく興味がない様子。結婚を前提にした彼女フロリアンを両親に紹介したいがために帰郷してきますが・・・。

その日の夜。ついに雨傘工場の従業員たちはロベールのワンマンぶりに耐え切れずストを起こし、ロベールを社長室に監禁してしまうのです。

帰郷したローランが説得に向かいますが解決には至りません。困り果てたピュジョル一家。スザンヌは最後の手段として市長のババン議員に助けを求めます。

実は、この2人。若かりし頃にただならぬ関係が・・・。

ババンの手腕で従業員と話し合いの場を持ち、とりあえず説得することに成功したスザンヌでしたが、ロベールは毛嫌いするババンと対峙し持病が悪化、長期休養を余儀なくされてしまいます。

そこで、工場経営の代理人に選ばれたのが・・・何とスザンヌ。

今までの生活からは想像すらしていなかった社会進出・・・はたしてスザンヌは本当に「飾り壺」なのか?

公式サイトによると、「POTICHE(ポティッシュ)」とは棚や暖炉の上に飾られる贅沢で豪華だが実用性のない花瓶や壺のことで、転じて、

「美しいが夫の陰に隠れ、自分のアイデンティティーを持たない女性」

という女性を軽蔑する隠語としても用いられているそうです。

しかし、タイトルに反してストーリーは、スザンヌの生き方を通して、女性の社会進出を称賛する女性賛歌の作品に仕上げています。女性の美しさを繊細に描くオゾン監督が女性蔑視などするはずもありませんけどね。

舞台を1970年代後半に設定しているところにも注目です。女性が社会に進出することなどなかった時代。日本でも同じようなことが言えますね。スザンヌも「時代を先行く女性」と自らを表現している通り、スザンヌの行動力は、30年もの間、何もできずにいたウップンを晴らすかのようにバイタリティーに溢れています。

作品も1970年代の映画を彷彿とさせるコミカルかつモダンなオープニング。音楽&ファッションで魅了しています。

スザンヌ役にはカトリーヌ・ドヌーヴ。まずはオープニングのジョギングシーンからインパクトがあります。ちょっとの風では1本たりともなびきそうにないスプレーで固めたヘアスタイル。ビシッと決めたメイク。しかし、ブルジョワらしさはそこまで。着ているのは何と赤いジャージ。大女優のジャージ姿はインパクト大です^^

でも、その容姿がスザンヌの性格を物語っているかのようでした。庶民的な考えを持つブルジョワ主婦。そんなスザンヌだからこそ雨傘工場の従業員たちから絶大な支持を受けたのでしょうね。

ところが、ロベールが長期休養を終え工場に戻ってくるのです。

夫VS妻の社長のイスをめぐる熾烈な争いがはじまります。

ジョエル、ローラン、ババン、そして、ロベールの秘書ナデージュたちもそれぞれに思惑があり、ロベールにつくのかそれともスザンヌにつくのかと思案します・・・はたして、その結末は?

ロベール役にはファブリス・ルキーニ。ルコント監督の「親密すぎるうちあけ話」で魅せたコミカルな演技を思い出します。この作品では長期休養を終えた後の度々みせる驚く顔の表情が面白いですね。秘書ナデージュ役のカリン・ヴィアールとの掛け合いも笑いを誘います。

ババン役にはジェラール・ドパルデュー。ババンの純粋な愛!?をコミカルに演じています。それにしても、・・・こ、こんなにお太りになられていたのですね。ちょっと心配してしまうほどの太り方ですね。あと、ババンの青年時代の役者さんの鼻は本物なのか作り物なのか・・・ちょっと気になりました^^

ラスト。

スザンヌの行動力は、さらに加速し、思ってもみない展開に・・・。

スザンヌが考える「しあわせ」とは、豪邸で暮らすことではなく、自分で何かをやり遂げることなのでしょうね。

何もしないのではつまらない。「しあわせ」を探すことで人生はより美しく花開くのでしょう。

色鮮やかな雨傘が開くように。

カトリーヌ・ドヌーヴの魅力が満載の作品でした。


★★★★★★★★☆☆


Title:
POTICHE

Country:
France (2010)

Cast:
(Suzanne Pujol)CATHERINE DENEUVE
(Maurice Babin)GÉRARD DEPARDIEU
(Robert Pujol)FABRICE LUCHINI
(Nadège)KARIN VIARD
(Joëlle)JUDITH GODRÈCHE
(Laurent Pujol)JÉRÉMIE RENIER
(Le routier espagnol)SERGI LÓPEZ

Director:
FRANÇOIS OZON


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