大人は判ってくれない
Comment:
夢や希望を見出せず、居場所すら無くした少年の物語。
フランソワ・トリュフォー監督の長編デビュー作にして、ゴダール監督の「勝手にしやがれ」と共に「ヌーヴェルヴァーグ」の象徴的な作品として知られています。
「勝手にしやがれ」よりも判りやすいストーリー構成です。個人的にはゴダール作品よりトリュフォー作品の方が好きになれそうです。
学校でイタズラばかりしている少年アントワーヌ・ドワネルの物語なのですが、その背景に家族の崩壊が見え隠れしています。
ドワネルに厳しく当たる母に対し、優しく接する父。両親は共働きで、さらに父の稼ぎが悪いため、2人は夜中になると喧嘩ばかりしています。その様子を寝たふりをしながら聞いているドワネル・・・。
ドワネルにとって心が休まる場所はどこにもありませんでした。その反動が学校でのイタズラや反抗に繋がっていたのかもしれませんね。
そして、そのイタズラがエスカレートしていきます。
ますます両親との関係が悪くなるドワネル・・・。
心を入れ替え優しく接する母でしたが、うわべだけのように見えてしまいます。
そして、ドワネルのイタズラは一線を越えてしまいます・・・。
ドワネル役はジャン=ピエール・レオ。彼の好演なくしてこの作品は成立していなかったでしょうね。終盤での医者との面接シーンが強烈な印象を残します。特典映像によると、あのシーンのセリフはすべてアドリブだったとか。監督は要点だけを教えたそうです。
ヌーヴェルヴァーグの作品としては「ロケ撮影」の点が挙げられます。家族が住む下町にあるアパートの一室はセットではなく、本物の部屋をそのまま撮影現場として使用していたそうです。狭そうな居住空間が彼らの経済力を表しています。
ラスト。ドワネルは「家族」としての幸せが欲しかっただけでした。しかし、両親も先生も誰も判ってくれませんでした。ドワネルはどこへ向かうのでしょうか。海を見つめる孤独なドワネル・・・波音が悲しく聞こえてきました。
★★★★★★★★☆☆
Title:
QUATRE CENTS COUPS, LES
Country:
France (1959)
Cast:
(Antoine Doinel)JEAN-PIERRE LEAUD
(Gilberte Doinel, the Mother)CLAIRE MAURIER
(Julien Doinel)ALBERT REMY
('Petite Feuille', the French teacher)GUY DECOMBLE
(Mr. Bigey)GEORGES FLAMANT
(Rene)PATRICK AUFFAY
Director:
FRANCOIS TRUFFAUT
Awards:
Cannes Film Festival 1959
(Best Director)FRANCOIS TRUFFAUT
(OCIC Award)FRANCOIS TRUFFAUT
New York Film Critics Circle Awards 1960
(NYFCC Award(Best Foreign Language Film))
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