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白いリボン

Category : 徒然映画
白いリボン

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辺境の村で起きる怪事件の数々。

その年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督の作品です。

全編モノクロによるこの作品。浄化の「白」に潜む悪意の「黒」をハネケ監督の独特の心理描写で描いています。映像がとても美しく、その年の撮影賞を数多く受賞したのも頷けます。あまりの美しさだったので、映画館で久しぶりにプログラムも購入してしまいました^^

1917年7月。町から離れた辺境の村。その村は、権力者である男爵と男爵に雇われた貧しい小作人たちで構成されていました。

ことの始まりは、医師の落馬事故でした。

・・・オープニングからドキッとするシーンです。

この事故で医師は町の病院で長期入院することに・・・。しかし、事故現場を調べると、道を横切るかのように1本の針金がピンと張られていたのです。

村はこの事件で騒ぎ始めるかと思いきや、その翌日、今度は小作人の妻が工場で事故死する事件が起きるのです。しかも、工場で働くように命じたのが男爵だったという噂も広がり、村人たちの記憶からは医師の事故は消えてしまいます。

話は変わり、村の牧師へと・・・。厳格な牧師は、特に自分の子供たちに対して厳しい躾けをしていました。何かと問題を起こす長女クララと長男マルティン。そんな彼らに戒めとして「白いリボン」を巻き、心の浄化を図ります。

しかし、彼らは心に「何か」を隠しているかのよう・・・。

そして、さらに村では次々と謎の怪事件が起き始めます。

子供たちは「何を」を隠しているのか・・・。そして、事件の真相と犯人は・・・。

今までのハネケ監督作品は、1つの家族に焦点を絞り、そこに潜む「悪」を描くことが多かったですが、今回は村全体にまで及んでいます。

それ故、今までにない大勢のキャストを起用し、群像劇ともとれるストーリー構成になっています。

主なエピソードは、

男爵
家令
牧師
医師
小作人
教師

を中心にした6つの家族または人とのつながりを描いています。

そしてほとんどのエピソードに絡んでくる教師の回顧録としてストーリーが展開していきます。

男爵の家族は、妻、息子のジギ、そして、産まれたばかりの双子の赤子。さらに、ジギの家庭教師と双子の乳母である若い娘エヴァ。男爵の家族はいかにも富裕層な人たち。しかし、男爵は銀行の資金繰りに苦労しているらしく、さらに、村の噂や怪事件に悩まされていきます。そして、最後は裏切られ・・・一番不幸な人だったのかもしれない^^

男爵の敷地内に住む家令ゲオルクの家族は、妻、息子ゲオルク、フェルディナンド、娘エルナ、そして産まれたばかりの赤子がいます。2人の息子は口より先に手がでてしまうタイプ。エルナは予知夢のようなものを見てしまい1人苦悩しています。この家族も小作人たちと同様、男爵に縛られた家族。父ゲオルクの息子に対する虐待にも似た叱責は家族の未来を案じてのことなのですが・・・。

牧師の家族は、妻、長女クララ、長男マルティンのほか、4人の幼い弟妹たちの計8人家族。牧師である父の完全な支配のもと、窮屈な暮らしを余儀なくされているクララとマルティン。そして厳しい体罰・・・。幼い子供たちはまだ物心が付いていないので、今の暮らしが当たり前のように思っているのかなぁ。末弟グスティの純粋さが逆に悲しくもあり、純粋すぎて怖くもあります。

医師の家族は、妻が他界し、物心がついた年頃の娘アンナと幼い息子ルディの3人暮らし。隣家には助産婦の女と知恵遅れの幼い息子カーリが住んでいます。男手ひとつで子供たちを育てている医師を何かと助けている助産婦の女。しかし、この2組の家族には誰にも言えない「秘密」があるのですが・・・。風貌からして立派な医師に見えるのに・・・なんて男だ!この村で一番の「悪」はこの医師なのかもしれません。

小作人の家族は、事故死した妻、長男マックスと次男カールが父の仕事を手伝い、長女フリーダが男爵家に奉公に出て生計を立てています。他にも養わなければならない子供がたくさんいて何かと苦労していそうな家族・・・。そこに突然の妻・母の死。原因が男爵にあるとわかっていても、盾突くことができない身分・・・。父、息子、それぞれの行動は自分自身で出した結論なのでしょうが・・・悲しいですね。

教師は別の村からやってきた真面目な青年。ある日男爵家の乳母エヴァと出会い心を奪われます。教師とエヴァの恋。唯一、微笑ましいエピソードなのですが、ハネケ監督がハッピーのまま終わらせるわけがない・・・はずなのですが・・・。

彼らのうち、誰かが被害者となり、そして、おそらく犯人もこの中にいるのです。

犯人はいったい誰なのか・・・。

やはりハネケ監督作品です。肝心の部分は謎のままに・・・。

子供たちがキーパーソンとなっているかのように思うのですが・・・。

教師がクララたちに詰め寄りますが、もし、クララの発言がすべて本心だったら・・・でも、私たちはクララの「悪」を目撃しています。

牧師が息子マルティンに涙の真意を問いますが、もし、マルティンが本当に話が悲しくて涙していたのなら・・・でも、私たちはマルティンの「神への赦しを乞う所業」を教師とともに目撃しています。

この2人は終始、行動が謎であり、犯人としては第一容疑者に挙げられること必至なのですが、その奇怪な行動はやはり父である牧師の厳しすぎる躾けと罰によるものであることも私たちは知ることになります。

クララとマルティンだけではありません。

家令の息子ゲオルクとフェルディナンド、小作人の息子マックス。彼らは気持ちを爆発させると何をしでかすのかわかりません。

さらに、医師の幼い息子ルディ。彼も「死」という存在を知ることにより、「何か」が変わり始めたのではないでしょうか。

そんな彼らの心を敏感に察知するのも、やはり同世代の子供たちなのではないでしょうか。

予知夢を見る家令の娘エルナ。
純粋な心を持つ牧師の息子グスティ。
知恵遅れのカーリ。

彼らは「何か」を感じ取り、他の者へ伝える役目を担っているかのようでした。

そして、事件の真相は・・・もちろん推測で語るしかないのですが・・・。

もし、すべての事件の犯人がクララたちだとすると、その目的は?となるのですが、おそらく「神のお告げのもと悪を浄化する」ことなのでしょう。「神のお告げ」とはまさしくエルナが見るような予知夢であり、自分たちの脳裏によぎったビジョン通りに行動に移さなければ神から赦しを乞うことができないと信じていたのかも。もちろんその根底には父である牧師からの躾けと体罰、そして「白いリボン」が彼らに拍車をかけていたのは間違いないでしょう。

そんな子供たちに「悪」を語る告発者がいたのだと考えてみました。

医師の落馬事件。医師の「悪」を知る人物は、助産婦、そして、娘のアンナの2人だけですが、助産婦のほうがより「過去」を知る人物として告発者として有力なのかも。でも、この事件はクララたちではなく助産婦が実行犯という説も捨てきれませんね。

ジギの事件。この事件にクララたちが関わっているとしたら、告発者は誰なのでしょう?小作人の息子マックスは自ら行動に出ているので除外されるでしょう。すると残るは父?いいえ、私はもう1人の息子カールがクララたちに告発したのではと考えます。しかし、カールはその後の父の結末をみて後悔したことでしょうね。この説とは別に家令の息子たちによるいじめという説もやはり捨てきれませんが・・・。

最後にカーリの事件。この事件の前後でクララたちの行動もさらに謎めいてくるので犯人の線は濃厚になってくるのですが、やはり告発者は誰なのか・・・。もしかしたら家令の娘エルナが自分が見た予知夢を教師に相談した時のようにクララたちに話してしまったではないでしょうか。この説とは別にカーリの母である助産婦が犯人という考えも浮かんできます。手当を終えた医師の手を握りしめるカーリ。その真意は「母と2人きりにしないで。」という信号だったのかも・・・。カーリは医師と助産婦との間の子という噂もあり、助産婦の「無分別な行動をとったらどうする?」という発言も意味ありげで・・・。さらに、もう1つの説として、医師の息子ルディが「死」という存在を間近で見たいという好奇心から自分より弱いカーリを襲ったという・・・あってほしくはない考えも浮かんでしまいました。

さらに飛躍し過ぎると、実はこの話をすべて知り、かつ、語っている教師が犯人なのでは?と思ってしまうほどに・・・。

・・・考えれば考えるほど答えが出てきません^^

でも、それがハネケ監督の狙いなのかも・・・。

「犯人は誰なのか?」

この疑心暗鬼は観ている私たちだけでなく、村人全員が思っていることなのです。

私たちは村人の一人と同じ・・・絶えず不信感、緊張感を抱きながらこの作品を観るしかないのです。

その結果、村人たちは互いに話すようなことがなくなります。唯一、真実を突き止めようとした教師は逆に迫害されてしまうほど・・・。

これは、ハネケ監督が初期作品からテーマに掲げている「感情の氷河化」に他ならないでしょう。

ただし、今までの作品は「コミュニケーションの不可能性」を一組の家族を通して描いていたものを、この作品では村という大きな社会で描いていたことに驚きと恐怖を感じます。

「人は会話する、だが伝わらない」
「近くなればなるほど話さない」

ハネケ監督の言葉です。

現代社会にも通じるものがあるような気がします。

この作品を観る前に、過去の作品を観ることをおススメします。


★★★★★★★★★


Title:
DAS WEISSE BAND - EINE DEUTSCHE KINDERGESCHICHTE

Country:
Austria/Germany/France/Italy (2009)

Cast:
(The School Teacher)CHRISTIAN FRIEDEL
(Eva)LEONIE BENESCH
(The Baron)ULRICH TUKUR
(The Baroness)URSINA LARDI
(Sigi)FION MUTERT
(The Tutor)MICHAEL KRANZ
(The Pastor)BURGHART KLAUßNER
(The Pastor's Wife)STEFFI KÜHNERT
(Klara)MARIA-VICTORIA DRAGUS
(Martin)LEONARD PROXAUF
(Gustav)THIBAULT SÉRIÉ
(The Steward)JOSEF BIERBICHLER
(The Steward's Wife)GABRIELA MARIA SCHMEIDE
(Erna)JANINA FAUTZ
(Georg)ENNO TREBS
(Ferdinand)THEO TREBS
(The Doctor)RAINER BOCK
(Anna)ROXANE DURAN
(Rudolf)MILJAN CHATELAIN
(The Midwife)SUSANNE LOTHAR
(Karli)EDDY GRAHL
(The Farmer)BRANKO SAMAROVSKI
(Frieda)BIRGIT MINICHMAYR
(Max)SEBASTIAN HÜLK
(Karl)KAI-PETER MALINA
(Eva's Father)DETLEV BUCK
(The School Teacher as an Old Man (voice))ERNST JACOBI

Director:
MICHAEL HANEKE

Awards:
Cannes Film Festival 2009
(Cinema Prize of the French National Education System)MICHAEL HANEKE
(FIPRESCI Prize(Competition))MICHAEL HANEKE
(Golden Palm)MICHAEL HANEKE

Golden Globes, USA 2010
(Golden Globe(Best Foreign Language Film))

Los Angeles Film Critics Association Awards 2009
(LAFCA Award(Best Cinematography))CHRISTIAN BERGER

National Society of Film Critics Awards, USA 2010
(NSFC Award(Best Cinematography))CHRISTIAN BERGER

New York Film Critics Circle Awards 2009
(NYFCC Award(Best Cinematography))CHRISTIAN BERGER


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