戦艦バウンティ号の叛乱
Category : 徒然映画
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戦艦内で起きた船乗りたちの叛乱。
その年のアカデミー賞作品賞を受賞したフランク・ロイド監督の作品です。
1787年、英国を出港する戦艦バウンティ号。「戦艦」と言っても1780年代後半ではまだ帆船なのですね。
バウンティ号の任務は、奴隷の食料用にパンの木を入手し、西インド諸島に輸送すること。
上官のクリスチャンは町の男たちを船乗りとして徴兵します。
そして、船長のブライは彼らを船乗りとしてではなく「奴隷」として扱うのです。彼らを恐怖で支配するブライに嫌悪感を抱くクリスチャン・・・。
タヒチ島に着くまでに、2人の対立は表面化していました。
そして、パンの木を船に積み、西インド諸島へ出航した時、事件が起きるのですが・・・。
人種差別にも似たブライの言動に、クリスチャンと同様、嫌悪してしまいます。なぜ、ブライはあそこまで人を痛めつけることができたのでしょうね。自分も若い頃に同じように痛めつけられたのでしょうか。
ブライをあのような人間にしてしまったきっかけのようなシーンがあると、より説得力が生まれたのかもしれませんね。
誰からも好かれそうもないブライですが、海兵たちからは絶大なる支持を受けています。そこが不思議で仕方無かったのですが、その理由が、事件後に判ったような気がします。
どんな人間であれ、ブライは「海の男」だったのです。
あんな小さなボートでタヒチから英国まで帰還した手腕は、他のクルーからしてみればまさに奇跡!過酷な航海での彼の勇敢な姿は、尊敬されて当然なのでしょうね。
あの英雄ような立ち居振る舞いを海兵以外の船乗りたちにも見せれば、あんな事件は起きなかったのかも・・・。
片や、クリスチャンは正義の人。「奴隷」として扱われていた船乗りたちを影ながら味方します。しかし、ブライへの押さえていた怒りがついに爆発し、船乗りたちを巻き込んで叛乱を起こします。
ブライたちをボートに乗せて漂流させ、クリスチャンたちはタヒチへと引き返します。
そして、クリスチャンは・・・。
・・・ちょっと、クリスチャンの独りよがりなところも見え隠れしていたような^^
クリスチャンにしてみれば、英国に戻ったら死刑は免れないでしょうから、確固たる決意があったと思うのですが、若い船乗りのトミーや名門バイアム家の子息ロジャーなどは、ちょっと憐れでしたね。でも、ブライの執拗なまでの執念おかげで、逆に救われたのかな?
クリスチャン役にはクラーク・ゲイブル。「或る夜の出来事」のピーターを演じていたとは思えないほど凛々しいですね。髭があるのとないのとでこんなにも違うのでしょうか。
ブライ役にはチャールズ・ロートン。狂気の男を怪演しています。さらに、ロジャー役のフランチョット・トーンを含めた3人は、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。
1作品に3人が主演男優賞としてノミネートされるとは・・・すごいというより、他の作品の役者はノミネートできないほど良くなかったのでしょうか^^
巨匠フランク・ロイド監督の作品であったことが、3人もノミネートされた理由の1つだったのかなぁ。
それよりも、一番驚いたのは、この話が実話を基にしているということ。
クリスチャンは幸せだったのでしょうか・・・事件のその後をインターネットで調べてみると、決して幸せだったとは思えないのですが・・・。
★★★★★★★★☆☆
Title:
MUTINY ON THE BOUNTY
Country:
USA (1935)
Cast:
(Bligh)CHARLES LAUGHTON
(Christian)CLARK GABLE
(Byam)FRANCHOT TONE
(Smith)HERBERT MUNDIN
(Ellison)EDDIE QUILLAN
(Bacchus)DUDLEY DIGGES
(Burkitt)DONALD CRISP
(Stewart)DOUGLAS WALTON
(Hayward)VERNON DOWNING
(Maggs)IAN WOLFE
(Fryer)DeWITT JENNINGS
(Tehani)MOVITA
(Maimiti)MAMO CLARK
(Hitihiti)BILL BAMBRIDGE
Director:
FRANK LLOYD
Awards:
Academy Awards, USA 1936
(Oscar(Best Picture))
New York Film Critics Circle Awards 1936
(NYFCC Award(Best Actor))CHARLES LAUGHTON
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