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エル・スール

Category : 徒然映画

エル・スール


Comment:

謎めいた父の過去を想像する娘の回顧録。


「ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ監督の長編第二作です。「ミツバチのささやき」と同じように、少女の感情、そして、想像の世界を美しい映像と共に描いています。


北の城壁に囲まれた川沿いの町の郊外。「かもめの家」と呼ばれている家に引っ越してきた、父アグスティン、母フリア、そして、8歳になる一人娘エストレリャのアレナス一家。


アグスティンは医者として働く傍ら、屋根裏部屋に閉じこもり、ある「実験」を日課としていました。実験中は集中力が必要なためエストレリャは近づけません。エストレリャはフリアから「霊力が逃げるから」と注意されます。


アグスティンは振り子を使い、枯れた土地から水脈を探し当て、町民から感謝されます。その様子を見て、エストレリャは益々父を慕うようになります。


ただエストレリャには、気がかりなことが1つだけありました。


父アグスティンの過去。


父の過去を何も知らないエストレリャは、父の過去を想像の世界で作り上げていくのですが・・・。


まず、印象に残るのは何と言っても美しい映像です。


光と影。


観た人なら誰もが感じると思います。光と影の演出だけで、幻想的な世界を見事に描いています。


真っ暗なオープニングから次第にそこがエストレリャの部屋であることを教える陽の光り。しかも、それが直射光でなく間接光であるところが、寒くなる秋の気配を感じさせます。


また、エストレリャの初聖体拝受でのシーンでは、影を使って奥にいるアグスティンを謎の男として際立たせています。


さらに、アグスティンが初めて家出し、駅近くのモーテルで一泊するシーンでも時間の経過を光と影で巧く演出していましたね。


もう1つ、印象に残ったのがカメラワークでした。専門用語は判りませんが、カメラを動かさず、ほとんどのシーンが定点によって景色や人物を捉えていたので、1つ1つのシーンが絵画のような芸術性に富んだカットの連続でした。


アグスティンが「国境」と呼んでいた並木道は芸術そのものでしたね。よくあのロケーションを探し当てたものです。


ストーリーは、エストレリャの誰かに語るようなナレーションが入りながら、8歳、15歳の頃に感じた父アグスティンの姿を追っていきます。


アグスティンが南(スペイン語でエル・スール)の地で生まれであること。

父との確執で南の地を去ったため、北の地に住み続けていること。

南の地の絵葉書。

南の地から祖母と一緒にやって来たアグスティンの乳母だったミラグロスの話。


エストレリャは何も語らない父の代わりに、父の周りにいる人や物から過去への想像を膨らませていきます。


この作品は、終始、エストレリャの想像の世界を描いていたのでしょうね。母フリア、家政婦カシルダ、祖母、ミラグロスらが、現実的かつ血の通った生きている人たちのように描かれているのに対し、父アグスティンだけが幻想の世界の住人のようにミステリアスに描かれています。


しかし、アグスティンがイレーネ・リオスが出演している映画を観てから、エストレリャの想像の世界に住むアグスティンに変化が・・・。


アグスティンの悲しい過去。


感情を表に出さないアグスティンからは、その真意を容易に掴み取ることはできませんが、それは、この作品がエストレリャの想像の世界だったからではないでしょうか。


夜中、イレーネのことでフリアと口論していたシーンが、エストレリャの記憶として残っていたのも頷けます。


15歳になったエストレリャは、父に誘われた昼食の席でイレーネのことを訊ねますが・・・。


父との確執。スペイン内戦。ラウラとの別れ。


おそらく、ほぼ同時期に襲ったアグスティンの過去がアグスティンの心に深い傷を残してしまったのでしょうか。でも、フリアと出会い、エストレリャを授かり幸せに暮らしていたはずなのに・・・。あの映画を観て、閉じ込めていた過去の記憶が甦ってしまったのでしょうね。


回想しながら父を語るエストレリャ。


推測ですが、聞き手は長距離電話の領収証を手がかりにして捜し出したラウラではないでしょうか。


観終わった後に残る余韻が味わったことのないくらい長く浸れる作品でした。



★★★★★★★★



Title:

SUR, EL


Country:

Spain/France (1983)


Cast:

(Agustín Arenas)OMERO ANTONUTTI

(Estrella, 8 years)SONSOLES ARANGUREN

(Estrella, 15 years)ICÍAR BOLLAÍN

(Julia, Agustín's wife)LOLA CARDONA

(Milagros)RAFAELA APARICIO

(Irene Ríos / Laura)AURORE CLÉMENT

(Irene Ríos's Co-Star)FRANCISCO MERINO

(Casilda)MARIA CARO

(Grand Hotel barman)JOSÉ VIVÉ

(Doña Rosario)GERMAINE MONTERO


Director:

VÍCTOR ERICE



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